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「自分事」という言葉について

「自分事」という言葉、皆さん馴染みがありますか?街づくりとか、ワークショップとか、ファシリテーション研修とかの場では、よく使われている言葉だと思います。牧之原市でも、絆づくり事業関連で、よく聞きます。

私はこの言葉に触れたのが一昨年くらいだと思うのですが、最初なぜか、すごく違和感がありました。今はもうそんなことないのですが、自分の中でこの「自分事」という単語が馴染むまで、いろんな紆余曲折がありました。今回そのあたりの事を書きます。

まず、「自分事」という言葉の意味はシンプルです。一言で言えば、「他人事」の反対です。もう少し説明しますと、例えば何か社会的な課題や問題があって、それに対して自分が当事者だという意識を持って、主体的にその解決に対して何か行動を取り始める、そういうことを指して、「その課題は、他人事じゃなくて、自分事になった」のように表現します。

私が違和感を持ったのは、この意味の部分ではありません。こういう概念は、街づくりの場などで必須のものです。「誰かが、この街を、快適な街にしてくれないかなあ」と思っている人が、主体的に、「自分も、自分の街を快適にするために何かしよう」と変わってくれれば、いろんなことがスムーズになります。

意味には違和感がない以上、言葉の響きとか雰囲気とか、そういうところに私が何か引っかかっているんだなぁ、とずっと思っていたのですが、最近までうまく言語化できないでいたのです。でもいろいろググッたり本読んだりしているうちに、ある日すっきりとわかりました。

結論から書くべきなのかもしれませんが、でもそのすっきりしたプロセスをどうしても先に書きたいので、そうします。

そもそもですが、日本語で「人」って書くと、何を意味していると思いますか?

これは、「人間」をもちろん指すのですが、加えて「他人」を指します。ですから、「人事」と書いたら、これが現在使われている「他人事」と同じ意味です。

でも、「ひとごと」という話し言葉ならともかく、書き言葉で「人事」って書いてあったら、現代だったら普通、「じんじ」って読みますよね。そのせいで次第に「ひとごと」は「じんじ」と間違われないよう、「他人事」って書かれるようになりました。

さて、「ひとごと」の漢字表記として「他人事」と書かれるようになると、また面白いことにこの表記から音がまた派生して、「ひとごと」に加えて「たにんごと」と読まれるようになります。

「他人事(たにんごと)」の表記と音が揃えばあと一息です。「他人」の対義語として「自分」という単語を当てはめて、「自分事(じぶんごと)」という言葉が生まれるのは自然な成り行きです。

さて、ここで最初の、『日本語で「人」って書くと、他人を示すんだよ』というところに戻ります。「人」が他人の事なら、自分のことはなんて言うのか。

自分のことは昔、「我」といったのです。「我」対「人」なんです。

なので、昔の表現であれば、「自分事(じぶんごと)」は、「我事(わがこと)」になります。「我事(わがこと)」対「人事(ひとごと)」だったわけです。

ここまでわかって、私はようやくすっきりしました。そして、結論としては私の違和感は、私のあまり意味のないこだわりが原因なんだなあと思いました。

言葉の響きとか雰囲気であれば、私にとっては、「自分事(じぶんごと)」よりは、「我事(わがこと)」の方が、かなりしっくりきます。でもですね、私も普段、自分のことを「我」なんて言わないわけですよ。北斗の拳のラオウじゃあるまいし。

普段、自分のことを「我」って言ってないんだから、「我事(わがこと)」の方が「自分事(じぶんごと)」より言葉として良い、なんて私が言ったらちゃんちゃらおかしいわけですよ。

それに私は、「自分事(じぶんごと)」という言葉の成り立ちがわかった時点で、かなり違和感がなくなりました。違和感があったのは、自分にとって「自分事(じぶんごと)」いう言葉のルーツが、出会った時点では正体不明で、安心して使っていい言葉なのかどうかわからなかったためだったのです。

この件で、なんでも自分で納得いくまで調べることって大事だなぁと改めて思いました。

PS

・・・・・・ただですね、この投稿に書いたことの大半は、私自身が1人で考えたのではなく、ほぼこの内容そのもののことが、どこかのブログに載ってたんですよね。でも今、そのブログが、いくらググっても見つからなくて・・・・・・半年前は確かあったのですが・・・・・・

そのブログが見つかれば、URLを書いて「ここのブログに載っている通りです、勉強になりました」と短く書いて終わりだったのですが、見つからなかったため、こんな投稿になりました。

もし読まれた方のうち、「そのブログってこれじゃない?」とわかる方がいらっしゃいましたら、コメントなどで教えていただけませんでしょうか。

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